マインドフルネス mindfullness

当院におけるマインドフルネスの導入と応用について

マインドフルネスについて

 当院では現在広く日常にストレスを感じやすく、考え方に偏りが生じやすいうつ病や不安障害の方を対象にマインドフルネスの実践をしています。具体的には、ストレス関連疾患に対する入院治療を提供している急性期ストレスケア対応病棟での、毎日2回にわたるマインドフルネスの実践、入院作業療法において集団で実践する「マインドフルタイム(マイフルタイム)」、うつ病復職支援(リワーク)デイケアで個別化された「マインドフルネスプログラム」の実践などを通じて、患者様の病状回復並びに生活の質の向上をお手伝いさせて頂いております。

マインドフルネスとは?

マインドフルネスの実践

 東洋の仏教思想2500年にわたる歴史から由来する「今、ここでの気づきを重視し、評価をせずにありのままに自覚しつつ生きること」を意味する用語です。そしてこの実践は自分自身に思いやりを向けることにつながります。

 近年は、本来の仏教の教え(仏教マインドフルネス)から発展し、治療もしくは健康増進・維持を目的(臨床マインドフルネス)として、難治性疼痛を抱えた方や境界性パーソナリティ障害の治療への応用、更に認知行動療法とマインドフルネスを組み合わせた心理療法(MBCT)がうつ病の再発の予防に有効であることが実証され、うつ病以外の摂食障害などに対象が拡大しています。このアプローチでは、少しのきっかけで刺激を受けると過去のことばかりに目がいき、否定的思考を何度もくり返したり、将来の不安ばかりを考え予期不安にさいなまされるという「反芻思考」に気づき、注意・気づきを「今、この瞬間」に向け変えることで現実的な考えに戻すことができます。

 現代に生きる私たちは、日常忙しさに流されてしまう事が多く、自分の変化に気づくのが苦手になってきています。特に精神的に不安定な状態では、否定的な思考が浮かんできて不幸せな気分が増してしまうことが多くなり、現実の問題はもちろん、自分の心の状態に目を向ける余裕をもてなくなっています。そうした状況の中で自然に立ち止まって、いまこの瞬間に目を向けられるように手助けするのがマインドフルネススキルです。精神的なゆとりを取り戻し、しっかりと自分を見つめ直す練習は今後ますます重要となり、時間をかけて取り組み、習慣化することで、日常からゆとりが生じ、現実的な思考や判断をすることが容易になり、個人のパフォーマンスもあがることにつながります。(この文脈から最近では、企業経営・研修、教育などへの応用がすすんできています)

 マインドフルネスの具体的な方法については、呼吸瞑想、ボディースキャン、身体を使ったウオーキングマインドフルネスなど、自分自身の身体の五感(味覚、聴覚、視覚、触覚、嗅覚)に気づく方法であれば、日常生活においてはほとんどの時間において、実行することが可能になります。